小数点以下の決着。

塾なんていらない。

私が医学部進学系の個人塾を経営していた頃のお話ですが、非常に優秀な浪人生が在籍していました。

高校時代は地域NO.1の私立進学校に通っていましたが、サボり癖がついており、現役ではもちろん、1浪でも医学科合格は果たせませんでした。

しかし、元々能力はあり、本人のやる気も出てきたので、学力は順調に向上しました。

模試の判定はほとんどA判定が出るようになり、本番のセンター試験でも810点以上を取り、今年こそは大丈夫だろう!

と思っていました。

ところが、二次試験では思うような手応えが得られず、結果は不合格・・・。

残念ではありますが、もう1年頑張ろうということで気を引き締めて再び勉強に取り掛かりました。

しばらく時が経ち、新緑の季節を過ぎると大学は個人の得点を開示してくれます。

その結果・・・、

合格者最低点との差は0.8点。

1点にも満たない点差で不合格でした。

傾斜配点を考慮しても、例えばセンター英語の配点2点の問題1問の差です。

この1問で以後の1年が決まりました。

まさに天国と地獄をわける境界は紙一重と言えるでしょう。

本人は少しの間、ショックやモヤモヤを抱えている様子でしたが、自分の意思で雑念を振り払い、どうせもう1年頑張るのだから志望大のランクを上げるくらいの気持ちで頑張る!という意気込みで勉強を続け、次の年に無事合格を果たしました。

国立大学の医学部医学科や難関大学に合格するために、多くの生徒は学校での勉強だけではなく、塾や予備校に通っていることと思います。

それを否定するつもりはありません。

分からないところを分かるまで教えてもらう。

学校より早い進度で勉強を進め、復習の時間を多めに確保する。

周囲の生徒と競い合い、競争心で自分のモチベーションを高め、維持する。

どれも塾や予備校に通う良い理由だと思います。

ただ、忘れて欲しくないのは、全ての学習は

『学習する者の目的意識』

という土台の上に乗っているということです。

センター英語の配点2点の問題1問の正誤は、恐らく学校のせいでも、塾や予備校のせいでもありません。生徒の学力のせいとも言えないかもしれません。

あの時、疎かにした単語テストのやり直しのせいかも知れないし、適当に覚えた文法かも知れません。

それらの積み重ねが大きな影響を及ぼすのが入試なのです。

1点に泣きたくなければ、常にその恐怖を意識しながら勉強しましょう。

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